
こんにちは、広島のWEB広告代理店株式会社ローカスの大塚です。
最近「Meta広告(旧Facebook広告)を始めようとしたら、アカウントが突然停止された」という企業からの相談が非常に増えています。
特に日本では、若い社員さんがFacebookを日常的に使っていないケースが多く、広告出稿のために急遽「新しい個人アカウント」を作成しようとしたところ即停止されたというトラブルが頻発しています。
この問題の背景には、Meta社によるセキュリティ強化と信頼性評価の自動化があります。
一時期ホリエモンだったり池上彰さんみたいな有名人を騙った詐欺広告が増えていた時期がありました。
このような不正行為を防ぐ為にセキュリティが強化された訳です。
結果、不正行為を防ぐための仕組みが整備された一方で、「正当な広告主であるにもかかわらず、新規アカウントが不自然な行動をとると停止対象になる」というジレンマが今起きているのです。
この記事では、なぜこのような問題が生じているのか、その具体的なメカニズムとともに、企業がMeta広告を安全に始めるための実践的な対策と注意点を解説します。
日本企業に多い「Facebook広告でつまずく」理由
欧米では実名制SNSとして日常的に活用されているFacebookですが、日本では若いビジネスパーソンにはあまり浸透していません。
特に20〜30代のビジネスパーソンでは「そもそもアカウントを持っていない」という人も珍しくありません。
また、過去に Facebookアカウントを作ったものの、使っていないのでパスワードを忘れてしまったというケースもよくあります。
このような背景から、日本では広告出稿にあたって新しくFacebookアカウントを作成せざるを得ない状況が生まれてしまっています。
しかし、Metaからすると「作成されたばかりのアカウントが、いきなりその日の内に広告を出そうとしてくる」という状況は、詐欺アカウントの典型的な行動パターンに見えてしまいます。
そのため、本人には全く悪意がなくても、Metaの自動審査システムによって不正アカウントと判定されてしまうリスクが極めて高くなるのです。
Facebookの基本ルール:「1人1アカウント」の厳格な原則
利用規約違反となる「複数アカウント作成」
Metaでは、個人が複数のFacebookアカウントを持つことを禁じています。
1人が作れるFacebookアカウントは1つまでです。
これはビジネス目的であっても例外ではなく、「以前のアカウントに入れなくなったので新しく作る」といった行為も規約違反と見なされます。
ですので、パスワードを忘れてしまった場合は電話番号やメールアドレスから何とかパスワードを再取得してください。
新しくアカウントを作成するよりは結果手間がかかりません。
アカウントの「信頼性スコア」の評価基準とは?
Metaは、ユーザーの信頼性を独自の「インテグリティスコア(信頼スコア)」で判断しています。
このスコアは以下のような多岐にわたる項目によって構成されています。
- 電話番号やメールアドレスの認証状況
- プロフィール写真と情報の詳細度
- アカウントの年齢(作成からの期間)
- 投稿やコメントの履歴と内容
- 友達の数や交流の活発さ
- ログイン環境(端末、IP、位置情報)
これらが揃っていない、もしくは不自然な動きをしていると、自動でリスクフラグが立てられ、広告機能が制限されるかアカウントが停止されるという結果になります。
気軽に個人アカウントを複数作成するのは絶対にやめてください
実際に多発しているトラブル事例とその原因
新規アカウントで広告出稿を試みた結果、即座に停止
よくあるケースが、「Facebook広告を始めたいが、誰もアカウントを持っていない」という状況下で、担当者が新規アカウントを開設。
そのままFacebookページを作成し、広告アカウントも開設しようとしたところ、翌朝にはアカウントがロックされていたというパターンです。
この状況からのご相談は本当に多いです。
過去のアカウント情報を忘れたまま新規作成
「昔Facebookを使っていたけれどログイン情報を忘れたから新しく作ろう」と安易に考えた結果、Metaのシステムが「同一人物による複数アカウント作成」と判断し、どちらのアカウントも凍結されてしまったという事例もよくあります。
Metaが「怪しい」と判断するのはどんな行動か?
Metaは、明確に「これをしたら即アウト」といった基準を公開していませんが、広告アカウントの凍結事例から共通する傾向を読み解くことができます。
代表的なのは以下のような行動です。
- アカウント作成直後にFacebookページを作成し、広告出稿へ進もうとする
- 友達が0人、または交流履歴がまったくない
- 投稿が存在しない
- VPN経由のアクセス、または海外のIPアドレスでの操作
- 短時間で複数デバイスからログイン
- 同一デバイスから複数アカウントでのログイン
- 他人との一切のつながりが見えない
つまり、Metaは「実在の人物が自然に使っている」アカウントなのかを細かく見ているということです。
Facebookの本来の利用パターンは、まず個人がプロフィールを整え、知人とつながり、投稿やリアクションを行うというものです。
ところが、アカウント作成直後にページや広告アカウントを開設する行動は、「bot的な動き」と見なされやすく、審査で即ブロックされるリスクがあります。
Meta Business Suiteを使って複数人で管理しよう
広告運用を1人の個人アカウント単独で行うのは、担当者の退職やアカウントトラブル時に大きなリスクとなります。
Meta Business Suite(旧Business Manager)を活用すれば、Facebookページや広告アカウントの権限を複数人で共有・分担できます。
複数人で管理する事でリスクを減らすことができます。
権限管理でセキュリティを強化する
広告担当者、投稿担当者、管理者など、役割ごとに権限を分けて管理することで、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
不要な操作を防ぎながら、柔軟な運用が可能になります。
トラブル発生時のリスク分散にも有効
管理権限を複数アカウントに分散しておけば、万が一誰かのアカウントが制限されても、他の管理者で対応が可能です。
これにより、広告業務の継続性が大幅に向上します。
新規アカウントを使う場合の安全な進め方
どうしても新規アカウントを作らなくてはならない場合は以下の手順を守って丁寧に作ってください。
ステップ1:まずは自然なプロフィール作りから
プロフィール写真、勤務先や学歴、居住地などの情報を丁寧に入力します。見た目から「実在の人物」であるとわかるアカウント作成が最初の一歩です。
問題があった時に免許証などの書類を提出するケースがあるので、必ず「正しい個人情報」を入力してください。
よくある間違いが個人名では無く「企業名」でFacebook個人アカウントを作成しているケースです。
知識のないHP制作会社などがサポートした場合に「企業名」でよく個人アカウントを作っているのですが、明確な違反行為になります。
インスタやTikTokは企業名でも良いのですが、Facebookは必ず個人名で作成する必要がありますのでご注意ください。
ステップ2:リアルな友人との交流を開始する
実際の知人や社内の同僚など、少なくとも10人程度とつながり、自然なやり取りを重ねていきます。
投稿に「いいね」やコメントが付くことで、信頼スコアが向上します。
数日〜1週間程度は通常利用に徹する
日々の出来事などを投稿しながら、アカウントを「人間らしく育てる」ことが重要です。
いきなりFBページの作成や、広告アカウントの作成などのビジネス目的の行動を始めるのは避けましょう。
ステップ4:Facebookページの作成・広告出稿へ段階的に進む
アカウントに一定の履歴ができた段階で、まずFacebookページを作成。
その後、数日間運用したのちに初めて広告アカウントを開設し、出稿を開始します。
上記の手順を丁寧に行う事で比較的問題無く広告運用を始められます。
意外と見落としがちな初期設定と注意点
意外と見落とされがちなのが、支払い方法の登録ミスやドメイン認証の未完了による審査落ちです。
広告アカウントの健全性を維持するためには、次のような設定もあらかじめ行っておくと安心です。
- クレジットカード情報の有効性と本人名義の一致確認
- 二段階認証の有効化
- Facebookページのカテゴリや詳細情報の入力漏れチェック
- 広告主の認証
アカウントが停止されたときの対応策
本人確認と正規手続きで冷静に対応する
凍結された場合は、免許証などの本人確認書類の提出など、Metaが提示する手続きに従いましょう。
焦って再度アカウントを作成するのは逆効果です。致命傷になりかねないので絶対にやめてください。
アカウントの再開には抜け道的な方法はありません。
サポートに「正規の個人アカウントであること」「問題のないビジネス目的の理由であること」をしっかり伝えて指示に従ってください。
よくある相談されるのが「バンされて何もできないし、サポートも聞いてくれない」というケースです。
ほとんどの場合、Metaはアカウント再開の為の審査の指示を出してくれています。
メールやログイン画面をしっかり確認してください。
まとめ:最短ルートは“正攻法”を丁寧に積み上げること
Meta広告を安全かつ効果的に始めるには、ルールを守り、アカウントの信頼性を着実に高めていくことが何より重要です。
「早く広告を出したい」と焦るあまり、規約違反や不審な行動をとってしまえば、かえって遠回りになります。
Meta Business Suiteを活用した体制整備、段階的なアカウント育成、そして適切な初期設定。これらを丁寧に実施することで、長期的に安定した広告運用が可能になります。
もし運用に不安がある場合は、広告代理店やコンサルタントなど、専門家のサポートを受けることも視野に入れるべきでしょう。
Metaに信頼される広告主こそが、成果を最大化する近道なのです。
弊社ではランサーズでの問い合わせ窓口も用意しておりますので、どうしても上手くいかない場合はご相談ください。